世田谷区の児童養護施設に月額3万円の給付型奨学金

児童養護施設児に給付型奨学金

返済しなければならない奨学金、それはもはやローンではないかという意見も多く、学生ローンの位置づけとなりつつあります。

 

2016年度一般会計予算案の記者会見発表で、世田谷区の児童養護施設や里親のもとで生活をしていた進学を希望する子供たちが利用できる「月額3万円の給付型奨学金」は始まることがわかりました。

 

貸与型と給付型の違い

簡単にいえば、借りているかもらうかの違いです。

貸与型 借りているため利息をつけた返還が必要
給付型 返済の義務無し

 

実は児童養護施設退所者は進学率に大きな壁があります。
厚生労働省雇用均等・児童家庭局家庭福祉課調べによると、大学、短大、専門学校への進学率に違いがあることがわかりました。

児童養護施設退所者 22.6%
全高卒者 76.8%

 

その理由の一つに「社会的用語は18歳の春まで」があります。

 

児童養護施設や里親のもとで生活できるのは18歳の春までと決められています。
18歳以上、それはまだ成人になるには2年もある歳ではありますがひとりでの生活が強いられます。
当然、収入を得なければならず進学よりも就職を選択する若者が少なくありません。

 

奨学金を利用しても返済しなくてはならない、それを考えると「一人で生きていく」ことを根底としなければならない現状、難しい選択になっていたでしょう。

 

そこで開始され社会に広まりつつあるのが18歳の春を平等なスタートラインで迎えるという試みです。
現在は世田谷区で始まることが決まっていますが、沖縄大学ではすでに児童養護施設退所者、里子を対象とした4年間の授業料288万円の全額免除も行われており、6名の利用者がいます。

 

高校進学率の上昇と卒業後の進路

高校の進学率は上がっています。

 

児童養護施設児 94.8%
全中卒者 98.4%

 

それほど大きな違いはありません。
さらに専修学校に進学した児童養護施設児も多くいるため進学率はかなり高いことがわかります。

 

ところが高校卒業後の進路はどうでしょうか。
平成24年度末に高校を卒業した児童のうち、大学進学は

 

児童養護施設児 12.3%
全高卒者 53.2%

 

非常に進学率が低いことがわかります。

 

児童養護施設、里子の学生ローン

平等なスタートを切ること、それは難しいことかもしれません。
親と離別、死別、さらには養育放棄、虐待。
さまざまな事情により選択肢のないままに養育環境が変わってしまった子供たちがいます。
もちろんそれが不幸だとは限ったことではありません。
幸せに養育を受けた子供たちも少なくないでしょう。

 

しかし社会人になるとスタートラインは一新され、また新たな環境からはじめなくてはなりません。
借りたら返す、それが奨学金であり学生ローンです。
これから給付型が浸透し、誰にでも平等に学ぶ機会が得られるように心から願うばかりです。